MOAB 3 Series

浸食によってかたち作られた甌穴の水面に、黄色い木の葉を一枚、また一枚と敷き詰めてみる。まるで最初からそこに存在していたみたいに。自然、ってなんだろう。物事の正体に近づくには、実際にその対象に触れ、体験し、深く対話をしてみないとわからない。

微かにブルーがかった甲を背負ったヤシガニが、小さく呼吸をしている。不思議な生態をもつ動植物と我々人間が、ひとつの生命体から進化したのは興味深い。生き物は、絶滅と進化を繰り返しながら命をつないできたのだ。

大地も動植物も、光や水がなければ呼吸をつづけることはできない。自然界では、異なる種が限りある資源を共有してきた。地球という大きな船で宇宙を旅する我々人間は、果たして正しく呼吸をしているだろうか。

夜の森で、ナナフシに出逢った。ある植物学者は、新種を発見するために誰も知らない道を歩き、あえて迷うという。これまでの殻を破る、あるいは新しい一歩を踏み出す。そんな時は彷徨うことが必要なのかもしれない。